住宅ローン控除への疑問

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住宅ローン控除の歴史は長く、認知度も高い。しかし、制度も長くなると当たり前のことに、疑問がわかなくなる。

住宅ローン控除関係は、毎年のように、国土交通省の税制改正要望に入ってくることから、その目的は、「持ち家促進」であることは、明らかである。この政策の可否は別として、この制度の目的が「持ち家促進」であるとするならば、次の疑問がある。

なぜ「税額控除」なのかという疑問

この制度は、一定要件の住宅のローンを対象とし、ローン残高を基礎として計算した金額の一定割合を所得税から控除する仕組みである。1年目は確定申告が必要だが、2年目以後は年末調整時に還付される。

これは、明らかに給付であって、給付を税法に組み込むことには、疑問がある。所得税法に税額控除として組み込むと、必然的に、所得の低い人に不利なる。税額控除であるかぎり、控除金額は、所得税額が限度となるからである。過去に、ローン残高の1%の還付があるとおもっていた方が、源泉徴収票の税額が限度と知って、「がっかり」という例に何度も遭遇した。

ただし、現在は、引き切れなかった場合は、住民税から控除することになっており、救済がはかられているが、制度は複雑化するばかりであある。

なぜ「ローン控除」なのかという疑問

もう一つの疑問は「ローン控除」であることである。かつての制度は「取得控除」であり、床面積をもとに、控除額を算出していた。目的が持ち家促進であるとすれば、ローンの有無は無関係である。しかも、対象となるローンの範囲も定まっているので、償還期間10年未満のローンでは対象とならない。

税法に組み込む必要があるのか

目的が住宅取得者への補助、助成であるならば、素直に、「給付」すればよい。

2年目以後の還付(給付)は、給与支払者に、肩代わりさせているが、給与支払者の負担は、当然視される。そして、税法は複雑化する。