住宅ローン控除では、2年目以後は給与支払者が還付する仕組みである。この還付金を事業者が立替払いしている事例があるが、あまり知られていない。
仕組みはこうだ。2年目以後は、住宅ローン控除の還付金相当額を年末調整時に、給与支払者(事業主:会社)が、支払う。この原資は、他の従業員からの源泉税の「預り金」である。ところが、数名規模の会社では、この「預り金」が、還付すべき金額に足りないということが、ままある。
こうなると、事業主は立て替えて払わざるをえない。この立替分は、次回支払う源泉税から差し引くが、数名規模の会社にとって、10万円、20万円は、とても大きな負担である。
無視される事業者の負担
住宅ローン控除は、持ち家制度を促進することを目的としている。この政策実施にあたっては、事業者の事務負担や金銭的な負担がある。
直接国が還付する場合の振り込みに要する事務費、手数料だけでも相当な金額になるはずである。これが、事業者の負担になっている。
本来は、補助金、助成金で支出すべきものを税法に組み込むことによって、事業者は、このような負担を強いられていることは、知って欲しい。