こりゃ大変だ!「定額減税」

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「2024年(令和6年)6月から納税者を対象とした所得税(国税)3万円、個人住民税(地方税)1万円の特別控除(定額減税)が実施されます。」ニュースにすれば、これだけだが、これを実際やるのは、給料を払う会社や事業主で、国税庁が特設サイトを設けるほど煩雑である。

無視される事務負担

減税の方法は、所得税については、6月1日以後支払われる給与の源泉徴収税額を減額するという方法である。

実際にこの作業を行うのは、給料を払う会社や事業主である。ところが、これが話題になることもないし、その負担は無視される。

なぜ大変か

減税は、6月1日以後支払われる給料の源泉徴収税額を減らすという方法である。6月の源泉徴収税額が、定額減税より多ければ、源泉税額から減税額を差し引きした金額を源泉徴収すればよいが、源泉税額の方が少なければ翌月以後も、同様の計算が必要となる。

定額減税の金額自体も単純に本人+扶養家族の数に3万円を掛ければよいというほど単純ではない。

扶養家家族の数も、「年少扶養親族」「同一生計配偶者」などによって、通常の源泉徴収の「扶養数」と異なる場合がある。その他にも扶養親族であって「非居住者」は数に含めないなどなどから「令和6年分 源泉徴収に係る定額減税のための申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書」が必要になる。
6月中に就職したとしても6月1日に在職しなければ対象とならない。

なにせ国税庁のQ&Aは31ページもある。ともかく大変なのだということだけご理解いただければよい。

給料計算ができない?

給与計算が変わるので、給与システムの改修が必要だが、問題は、5人、10人といった規模の企業や個人事業者である。

私は、税理士を廃業した身であるが、「なんでこんな面倒なことやらなきゃならないの」という声が聞こえてきそうである。この規模では給料計算専任の担当者がいるわけではない。事務負担は大変である。

鶴の一声で始まった定額減税であるが、現場は混乱し迷惑する。「減税」といえば誰からも歓迎されるというのは、思い違いであることは指摘しておきたい。