価格表示が気になる理由は二つあります。一つは、実際の販売額より安い金額を大きく表示するという「ありえない事」が、まかり通っていること、もう一つは、この表示方法が、消費税誤解の温床になっていることです。消費税の導入から、34年経過し、今や税収のトップですが、その理解は進んだとはいえません。正確な理解のもとに、その是非、あり方が論じられよう願っています。
まともとは思えない価格表示
スーパーなどでは、実際の販売額より、安い値段を表示し、実際の販売額は、小さく書いてあります。買い物をするときは、店側が価格を提示し、その金額に納得すれば購入します。その店側の価格提示(意思表示)の仕方が、まともとは思えません。ユニクロやジャパネットのチラシは、価格一本で「税込」等の記載すらありません。商店街の商店や飲食店の価格表示にも、ほとんど税抜き、税込みなどの二重表示はありません。他にも、「価格一本」の会社がたくさんありまます。
実際の販売額より安い金額を大きく表示するのは、まともとは思えません。
誤解の原因となる二重価格表示
価格表示にこだわる理由の二つ目は、二重価格表示によって、消費税が「預り金」と勘違いされること、「消費税を転嫁できない」場合があることが、みえなくなることです。
消費税「預り金」説の誤解
消費税は、商品やサービスにかかる税で、消費者が納税義務者と理解されているようです。このとおりなら、「税込価格」と「税抜価格」の差額は「税」であり、消費税は「預り金」として、そのまま税務署に納付されているはずです。ところが、実際は、「預り金」として、そのまま納付されているわけではありません。
詳しいことは、国税庁のサイトでご確認いただくか、下記の記事をご覧ください。「消費税ってどんな税」
税を転嫁できないこともある
店側は、本来の価格に10%プラスして、販売していると理解されています。ところが、消費税法の規定では、消費税の金額は、対価(お客さんからもらう総額)をもとに逆算して計算します(第28条)。消費税の計算方法については、「消費税は、どうやって国納付されているか」をごらんいただくか、国税庁のサイトをご覧ください。
この規定によって、事業者にとって、消費税を含まない売上は存在しないことになります。ラーメンを600円とするか、680円とするかは、店主の自由ですが、金額をいくらにしようが、消費税は含むもとされます。
「600円じゃ消費税どころじゃないよ。ギリギリだよ」というのが本音かもしれません。この店主にとっては、消費税はお客からもらうものでなく、自腹という感覚でしょう。店主の気持ちは、自腹であっても、この店のレシートには、「うち税54円」となっています。