日本の「税金透明度」94位

この記事は約2分で読めます。

スイス、ドイツの研究機関が、発表した世界の「世界租税支出透明性指数」の順位である。租税支出とは、とるべき税金を「おまけ」することだが、手心を加える、とうことではなく、「租税特別措置法」によって、大盤振る舞いが行われている。

<参考>

租税支出の透明性を高めよ 関西学院大学教授(財政学) 上村敏之 - 日本経済新聞
欧州の国際研究機関が世界租税支出透明性指数(GTETI)の国際ランキングを世界で初めて公開したが、日本の順位は94位だった。G7ではカナダ2位、ドイツ4位、フランス5位、米国6位、イタリア7位、英国27位であり、日本の租税支出の情報公開度が...

長年税理士を稼業としてきたが、現在の税制が異常であることは、日々感じてきた。世界的にみれば、私が思う以上に異常なのが日本の税制だということだ。

グロテスクに肥大化した税務六法

グロテスクな税務六法-こんな税法に誰がした
税理士でさえ、毎年購入するのにはためらいを覚える税務六法のグロテスクなまでの厚さ。租税特別措置による税制の複雑化。「こんな税法に誰がした」 グロテスクなまでの税務六法の厚さ 手元の税務六法(新日本法規版)では、法令編が四冊ある。総ページ数は...

本来、給付で行うべきもの(その正当性は別として)が、税法に組み込まれている。大半は、中小企業、零細企業とは縁遠いものだが、身近なものとして「医療費控除」がある。医療費控除は所得控除であり、必然的に所得の高い人のほうが有利であり、税額がない人は恩恵がない。もっとも医療費控除自体を「給付行政」と位置づけることには疑問があるが。

医療費控除は必要か
「給付」と受けとめられている医療費控除 医療費控除について解説するサイト見ると、「医療費控除の申請の仕方」などとなっているものも多い。この制度の受け止めは多くの人にとって「給付」である。 医療費20万、年収1千万で還付2万円、5百万で1万円...

これは申請書なのか申告書なのか

もはや私は、現場を離れているが、現役の税理士の方が苦労しているであろうと思われるのが「所得拡大、雇用促進税制」である。毎年のように改正があり、要件が変わる。最初にこの法人税別表(計算明細書)をみたときに、これは申告書なのだろうかと目を疑った。どうみても、これは給付申請書であり、この給付は「税額控除」という形で行われる。

諸官庁の税制改革要望

総務省|税制改正|税制改正要望

驚きは、年中行事となっている、諸官庁の税制改正要望である。そのほとんどが、「租税特別措置」すなわち減税要求である。これでは予算要求と変わらない。実質的には助成金である。

プライマリーバランスの話は信じていいのか疑問になる。