インボイス制度の基本を押さえた上で、対応を考えましょう。
インボイス制度への対応は、消費税の課税事業者であるか、免税事業者であるかで違います。取引先(販売先)が、事業者か一般消費者か、取引先が事業者であっても相手が免税事業者か、課税事業者か、課税事業者であっても、簡易課税事業者か、そうでないかによっても違います。
課税事業者の対応_(BtoB)事業者は
主な顧客が、事業者(BtoB)の場合は、適格請求書(インボイス)の発行を求められることが想定されます。
適格請求書発行事業者の登録を行って、インボイスの発行準備をしておきましょう。
日常の会計処理(データ入力)も変わってきます。
適格請求書発行事業者の登録
適格請求書を発行するためには、税務署長に登録申請書を提出する必要があります。
国税庁「インボイス制度Q&A 」問2を参照ください。
適格請求書(インボイス)発行
従来の請求書から、要件を満たす適格請求書(インボイス)に変更する必要があります。
「インボイス」「適格請求書」といっても、ほとんどの場合、従来の請求書に、適格請求書発行事業者の登録番号を記載すれば「適格請求書」となります。
国税庁「インボイス制度Q&A 」問43を参考にしてください。
一般消費者を主な顧客とする業種では、請求書でなく、領収書(レシート)のみ発行することが多いと思います。ほとんど野場合、従来の領収書に適格請求書発行事業者の登録番号を記載すれば足ります。これを「簡易適格請求書」といいます。
国税庁「インボイス制度Q&A 」問47を参考にしてください。
会計データの入力(記帳)の手間が増える
仕入れ先が適格請求書発行事業者か、そうでないかの区分が必要です。会計ソフトの仕様によって違いますが、「免税事業者からの仕入」という税区分が追加されるでしょう。
仕入税額控除に関する改正ですから、簡易課税を選択している場合は、関係ありません。
課税事業者の対応_(BtoC)
顧客の大半が、一般消費者である商店や飲食店は、特にインボイスの発行は不要と思います。
簡易課税選択者以外は、日常の会計処理(データ入力)は、新たな仕入区分が必要ですから、変わってきます。
懸念される事項としては、番号の入った領収書、レシート(簡易適格請求書)の発行ができないため、会社関係の顧客が減るということも考えられます。適格請求書発行事業者の登録申請をして、「適格簡易請求書」を発行するのも選択です。「適格簡易請求書」は、さして難しくありません。市販の手書き領収書もあります。
免税事業者は選択をせまられる
改正自体は、消費税の税額計算に関する改正なので、消費税の申告納税をする必要のない免税事業者は、基本的には無関係ですが、一番難しい選択を迫られるのが、課税事業者を売上先とする免税事業者(BtoB)です。
取引先から、インボイスの発行を求められた場合「登録事業者でないので発行できません」と回答するか、要求に応えて、課税事業者を選択し、消費税を支払い、インボイスを発行するかの選択を迫られます。