「買い物の都度取られる消費税」は間違い

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参議院選挙が近づいてきて、消費税(減税)がニュースになることが多くなってきた。テレビ新聞の解説などを読んでも、「この方たちは消費税法を読んだことがあるのか」と疑問に思うことが多い。まず、正しく知って、キチンと考えることが重要だ。そうでないと思わぬツケが回ってくる。

消費税の納税義務者は消費者ではない

買い物をしてレシートをみると「税」と書かれていると、これを消費税と思うのは、無理もないが、これは消費税ではなく「消費税相当額」であり、価格(値段)の一部である。「買い物の都度取られる消費税」という先生(評論家や政治家、自称専門家)が、いたら、この人は消費税を知らずに論評していると思ったほうがよい。

消費税法第5条

「消費税法」だから消費に課税し納税義務者は「消費者」と思うのも無理はないが、消費税法には、消費税の納税義務者は事業者と書いてある。

(納税義務者)
第五条 事業者は、国内において行つた課税資産の譲渡等(特定資産の譲渡等に該当するものを除く。第三十条第二項及び第三十二条を除き、以下同じ。)及び特定課税仕入れ(課税仕入れのうち特定仕入れに該当するものをいう。以下同じ。)につき、この法律により、消費税を納める義務がある。

「課税資産の譲渡等」とは、モノやサービスを売ったという行為であり「売上」のことである。
ごらんのように、消費税法には、消費に課税するとも、消費者が納税者とも書いていない。「買い物の都度とられる消費税」というのは間違いである。

間違った理解の弊害

間違った理解から、多くの人はレシートの税は、そのまま預り金として税務署に納付されているものと信じてしまう。この「税」は消費税ではなく商品代金の一部なので、この「税」がそのまま税務署に納付されるわけでない。

これが消費税を知る第一歩であり、ここを納得しないと、様々なトリックに引っかかってしまう。

代表的な勘違いが、今、レシートの「税」が80円(8%)だとして、これが5%になれば50円に、0%ならば0円になると思い込むことだ。そうなる保証はどこにもない。価格は、様々な要因で変わる。レシートの「税」は価格の一部だということを忘れてはいけない。

消費税減税が実現しても、レシートの「税」が減るだけで、価格は変わらない(本体分が増える)ということもありうる。減税で得をするのは、企業か消費者か、それはわからない。これが消費税である。