民間給与実態統計(年齢階層ごとの人数)

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国民の多くが「給与」で生活している。貧困、少子化、高齢化社会など様々な社会的問題についても、根拠がどこにあるのか不明な「データなき論調」がある。民間給与実態統計は、給与実態を調査した信頼性の高い「データ」である。まずデータをみるべきである。
公務員データを含まないのが残念であるが、手がかりとして最初に年齢階層ごとの民間給与受給者の「数」をみていく。

年齢階層別給与

年齢別給与の実態(統計第10表から)

年齢階層別の給与受給者の人数である。全体の人数は、4,924万人。
男女合計であり「一年を通して勤務した者」で「乙欄適用者」を除外した数である。45歳から49歳の階層、50歳から54歳の階層がピークで一番人数が多い。24歳以下が少ないのは、まだ就学中の人も多いこと、60歳から64歳の年齢階層から、急に減少するのは、定年退職と関係していると思われる。70歳以上もかなりの数(259万人)であることも特徴といえよう。

※乙欄とは、源泉徴収税額表の乙欄のことで、通常は甲欄を適用する。乙欄は、主に、二カ所目からの給与などに適用されるので、これを含めると同一人が二度カウントされることになる。

年齢階層別人口と就労者数の関係

給与受給者数が多いといっても、人口が多い世代は多くなるのは当たり前のことなので、人口と就労者の関係をしらべてみた。(民間給与受給者であるが、以下単に就労者ということにする)

これをみると24歳以下と65歳以上の両端以外は、カーブが類似しており、就労者の割合は、あまり変わらない。

このまま推移すると、現在の「25歳から29歳」の階層が、20年後には、現在一番就労者数が多い「45歳から49歳」の階層になり、現在の67万人から39万人へと、激減することになる。

年齢階層別男女の就労者数

就労者数を男女別にわけてみた。

19歳以下を例外として、すべての年齢階層で、男性の就労者数が多い。20歳から24歳の年齢階層では差はほとんどない。特に差が顕著なのは、35歳から49歳までの年齢階層である。50歳以上の年齢階層から、差が小さくなっていく。

ひとこと

人口減少社会

単純な人口減少=働き手不足論に与する気はないが、人口減少社会に入っていることは疑いない。少子化、人口問題については、過去に書いたので、下記をお読みください。

「少子化をキーワードとして考えたこと」
「歴史人口学の世界」速水融

男女の就労状況の違い

ここをみると日本社会の現状がわかる。ごく若い世代では、男女の就労率にあまり差はない。就職を希望しない女子学生は、あまりいないのではないだろうか。ところが、30代、40代前半くらいでは、男女の就労数の差が大きくなる。もちろん、生き方の選択=自発的な要因もあるが、多くは、出産や子育ての社会的支援の不足が原因ではなかろうか。50代後半から、就労率が上昇を始めること、20代前半世代の男女就労者数は、ほとんど差がないことが、このことを裏付けている。

日本のジェンダーギャップ指数(2022年)は、なんと116位である。10年後20年後もこの状態が続くとすれば、社会の活力は失われる。