国税庁の統計情報サイトには、膨大なデータがある。税理士を廃業するまでは、これらを見る余裕もなかったが、これは宝の山である。しかし、数字の羅列をみても、おもしろくない。興味をひくところから、「読んで」みたい。
民間給与実態統計調査
これは「課税データ」ではないが、昭和24年から継続している「標本」調査であり、民間給与の実態がわかる信頼おける統計である。
格差―下流、中流、上流
格差を表す指数としてジニ係数が使われることが、多いが、一般人には、分かりにくい。ダイレクトに、給与の実体から、みたほうがわかりやすい。
給与の階級を、どう区分するかということ自体、何らかの価値観を含むものであるが、ピケティ流に、下位を50%、中位を40%、上位を10%とすると、令和4年の調査では、下記のようになる。
給与収入 | 人数 | 所得シェア |
400万円以下 | 51.2% | 25.9% |
500万以上800万以下 | 37.9% | 45.6% |
800万以上 | 10.9% | 28.5% |
(出典 令和4年民間給与実態調査結果)一年を通じて勤務した人の男女合計から計算した。
下位
約2600万人、給与所得者の半分(51.2%)が、年収400万以下である。
給与シェア(給料の中から、この階級が得ている割合)は25.9%である。100万円以下の人も相当数いることから、フルタイムの給料ではないものの含まれる。
中位
約2000万人で、ほぼ4割を占める層であり、一般にいう中流層である。
500万以上、800万以下の層である。
人数は37.9%、所得シェアは45.6%である。
これは社会保険料や税を控除する前の金額であるから、これを中流と呼んでいいのか疑問である。
上位
上位1割(550万人)が、800万以上の年収を得ている。この所得シェアは、28.5%である。
年収800万を上流というのも疑問なしとしないが、この統計が、1千万までは百万円ごとの階層であるが、1500万、2000万、2500万超となっているので、上位5%、1%などは、わからない。
ひとこと
上位10%の人が、給与の28%を得ており、下位50%の人の給与は、25%である。単純に計算すると、上位の人は、下位の人の5倍の給料を得ていることになる。
計算しやすいEXCEL形式で、結果が公表されている、平成11年以後の「民間給与実態統計調査」をみても、400万以下が半分、800万以上が10%程度という傾向は変わらない。20年以上給料が上がっていないこともわかる。