森永卓郎さんの「ザイム真理教」を読んだ。たいした知識があるわけでもない私は、本を読むと、たいてい「そうだよな」と納得してしまう。
「ザイム真理教」とは、財政均衡主義を真理とするカルトで、信者は八千万人だという。
私も最近までこの信者であったが、この本を読む以前から、財政均衡主義を疑い始めていた。
「借金を子孫に残していいのか」といわれて
国の借金の問題点は、「今の世代が借金をして、自分たちのために支出すると、子供や孫、ひ孫世代に負担を先送りすることになるという(財務省パンフレット)。」いかにも、もっともらしい説明で、新聞をはじめ、ほとんどの人が、「そうだな」と納得する。
私が、財政均衡主義に疑問をいだいた、きっかけは、この説明である。
将来世代の「食い扶持」を奪うことはできない
「将来世代に借金を残していいのか」といわれると、いかにも、現在の世代が、将来世代の「食い扶持」を奪っているようなイメージである。
しかし、原資が、所得であれ、借金であれ、現在の世代が、消費できるのは、現在の生産物、財であって、将来世代の生産物を消費することは不可能である。
借金とは債務であり、対になる債権がある
もう一つは、借金とは、債務であり、必ず対になる債権が存在するという単純な事実である。債務者には、対になる債権者が存在する。債権と債務は、一つの関係であり、債務が増加すれば同額の債権も増額している。
借金を将来世代に負わせるといっても、債権者が将来世代になるだけではないのだろうか。
ザイム真理教から脱会模索中
私には、さしたる知識があるわけでもないので、国の借金が増え続けると、どうなるか、といったことは、全くわからない。また債権者が外国人、外国政府になるとどうかといわれると、それもわからないが、現にアメリカ国債の保有者の半分近くは、外国であり、中国や日本も大量に保有している。
今の社会制度の歴史はさして古いものでなく、永遠のものではない。人間は、自然に働きかけて、生産し消費して生きているという、基底(根幹)に立ち返ってみると、今まで当然と思っていたものが、全く違ってみえてくる。
かくして、私は、ザイム真理教から脱会すべきか模索中である。
この本の内容とは離れてしまったが、一読をお勧めします。