消費税近未来物語(1)2019年10月1日

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2019年10月1日 とあるハンバーガーショップにて

――店頭メニューにAセット550円(税込み)とある――

客「Aセット1つ」
店員「店内でお召し上がりでしょうか?」
客「テイクアウトします」
店員「では550円ちょうだいします」
客「おかしいな、テレビでみたけどテイクアウトは8%だといってたけど、何で550円なのテイクアウトは消費税が安いはずでしょ」
店員「当店は店内でお召し上がりでもテイクアウトでも同じお値段となっております」
客「納得できないよ」

こんなトラブルが日本中でおきそうな気がします。原因は「軽減税率」によって中で食べると飲食で10%、テイクアウトなら食料品で8%と同一商品で異なる税率が適用されるからです。

解説

平成30年5月に消費者庁、財務省、経済産業省、中小企業庁の4省庁合同で「消費税の軽減税率実施に伴う価格について」という文書が発表されています。この中で「事業者がどのような価格設定を行うかは事業者の任意である。」とし、その上で異なる税込み価格を設定する場合は、1)テイクアウト、店内飲食の両方の税込み価格を表示するか、2)片方の税込み価格を表示する方法が考えられるとしています。

両方表示の具体例

Aセット550円

(540円)テイクアウトの価格です。

片方表示の具体例

Aセット550円

テイクアウトの場合税率がことなりますので価格が異なります。

同一価格の場合

もちろん事業者がどのような価格設定を行うかは、自由です。イテクアウトと店内飲食を同じにしてもなんら問題はありません。

ただしあくまで適用税率が異なるので、同一価格で販売する場合はテイクアウトについては税抜き価格を値上げしたことになります。

4省庁合同文書では、冒頭の事例のようなトラブルがおきないよう「合理的な理由の説明をすることが考えられる。」としています。合理的な理由とは「当店はテイクアウトの場合は別途テイクアウト用カップの代金を頂戴しております。」などでしょう。出前なども同様です。

事業者への影響

売上の区分が必要になる

価格表示のお話は、ここで終わりですが、消費税の納税義務である、そばや、寿司やなど出前がある業種の場合は、価格が同じだからといっても8%分と10%分を区分しないと消費税の申告書が作れません。

飲食店は納税額が増える

飲食店では、酒以外の食材の仕入れは軽減税率8%で、売上は10%ですから、消費税の納税額が増えます。どのくらい納めるようになるのか、あらかじめ試算しておかないと申告時期になってあわてることになりかねません。

 

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この記事は2019年1月現在の情報によって記載しています。