年収の壁について 元自営業者のつぶやき

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架空の対話

パート従業員「店長、12月は休ませてください」

店長「困るよ、何で」

パート従業員「これ以上働くと夫の扶養からはずれるんです」

業界幹部「先生、なんとかしてください。これじゃ人出不足で12月は営業できません」、「それに、ちょっと給料が増えただけで、会社も社会保険料も負担しなきゃならないし、大変です」

先生(国会議員らしいが不明)「よっしゃ、なんとかしよう」

政策立案者(官僚らしいが不明)「先生、これで、いかがでしょう。給料が増えて社会保険に入っても、社会保険手当を出せば、手取りは減りません。その分は、国から助成することにしましょう」

先生「名案、名案」

厚生労働省HP

厚生労働省によれば、パート、アルバイトが年収の壁を意識せず働ける環境づくりを後押ししますとのこと。

年収の壁・支援強化パッケージ

ヘンだよなと思うこと(税金ではあり得ない)

私は、ある一定のラインを超えれば、税金もかかれば、社会保険料も引かれるのが、当たり前と思っています。どんな制度にもライン(壁)が、あるのは避けられません。

これを税の世界に置き換えると、全くおかしな制度になります。「従業員が税金引かれるのがいやと言っているので、なんとかしてください」「じゃあ税金手当出しなさい。その分は国が補助します」なんてことは、あるはずがないと思うのです。

ヘンだよなと思うこと(厚生労働省の対応)

夫の「扶養」ではなくて、妻が自前の年金に入ることは、そんなに不利なのでしょうか。「今、年金保険料を引かれても、将来のあなたのためです」「自前の保険証なら傷病手当もあります」と、元締めである、厚生労働省は、なぜ堂々といえないのでしょうか。

壁を高くすると、どうなる

問題になっている、高い方の「壁」は、130万円だそうです。複雑な制度を考えずに、壁を少し高くすれば、簡単だと思うのですが、これも問題がありそうです。

同じ仕事で同じ給料なのに、会社員、公務員の「扶養」扱いの人(第三号被保険者)は、年金保険料を引かれない(払っていない)のに、基礎年金の受給資格があり、それ以外の人は、壁より低い給料でも、給料からしっかり引かれています。

壁を高くすれば、なんで「扶養扱いの人を特別扱いにするのか」と不公平感がより高くなるでしょう。

自営業者の問題

夫婦で、自営という例は沢山あります。最近、フリーランスの人も増えているようです。

税法上、夫が事業主なら、妻は税法では「専従者」と呼ばれます。青色申告ならば、「青色専従者給与」を払う、もらうという例が多いでしょう。この場合、夫婦とも国民年金に加入することになります。

会社員、公務員の妻がパートで働けば、第三号被保険者として、国民年金に入らなくても、年金受給資格があります。この違いは何?と思います。

いろんな立場の人が納得する制度を

憲法14条を引き合いに出すまでもなく、政府は、すべて国民を平等に取り扱う義務があり、国民は平等に取り扱われる権利があります。何をもって「平等」とするかは難しいですが、現在の年金制度は、平等とは思えません。

誤解なきようお願いしたいのですが、第三号被保険者が優遇されているということをいいたいのではありません。働き方は多様化しています。

「扶養」となっていない人、厚生年金に加入していない事業所の従業員、自営業者、いろんな立場の人が、納得する制度であって欲しいと思います。