最近、MMT(Modern Money Theory:現代貨幣理論)に興味があり、本を読む中で「万年筆マネー」という言葉を知った。現代において、貨幣を創っているのは銀行だという説で、この銀行とは、日本銀行などの中央銀行のことではない。万年筆マネーとは、トービン税で有名な経済学者トービンの造語らしい。
※ここで「貨幣=money」とは、日常的に私たちが使う「お金」と同義で預金も含む。
万年筆マネーという言葉を知ったのは、最近だが、私自身、会社が借入をすると銀行の仕訳はどうなるかと考えていて、似たようなことに思いいたったことある。結局何が何だかわからなくなってしまったのだが。
会社Aが、銀行Xから500万の融資を受けたとする。会計処理と仕訳は下記の通り。
会社A:(借方)普通預金/(貸方)借入金 500万
銀行X:(借方)貸付金/(貸方)預金 500万
※銀行にとって、顧客の預金は負債である。
X銀行がA社に500万円融資すると、銀行は(借方)貸付金/(貸方)預金という仕訳をコンピュータに打ち込むだけなのだ。そうするとAのX銀行の通帳に500万円が振り込まれ、Aはこの500万円を自由に使うことができる。これは、貨幣(お金)が、創出されたことにならないのであろうか。
複式簿記の知識がある人は、納得するのだが、簿記の知識がないと魔法のような、バカにされたような気になるが、どう考えても事実はこのとおりである。ちなみに手書き時代は、去ったので、今はキーストロークマネーというらしい。
ほとんどの人(私も)は、銀行は預金として預かったお札を金庫に入れて、貸し出すときは、そのお札を金庫から出しているとイメージする。しかし、上記の仕訳から明らかなように、理屈上、預金がなくても貸し出しは可能なのである。Aが預金を引き出す、またはAがBへ振り込みしたらどうなるという話はここではおいておく。現代の銀行は、コンピュータに記録するだけで、貨幣(お金)を創り出すことができるという説は、事実そのとおりとしか思えない。