かつ丼540円(税込594円)の件

この記事は約2分で読めます。

「かつや」と「松屋」

いつもとおる道で目にする。幹線道路に面した店舗の壁に大きく掲示してある。540円は、大きな字だが、594円は、とても小さい。540円が、車から見えやすいようにしているのだろう。「かつや」である。もちろん、540円でかつ丼は、売ってくれないし、客も540円とは思っていない。不思議な世界である。ほかはどうだろうと気になり、すぐ近くの「松屋」をみると「牛めし400円」というのぼりが、何本もたっていた。こちらは、税抜きとか税込みとかの表示はいっさいない。商品の値段を二重に表示し、しかも、実際の販売価格と違う方を目立つようにする。

この表示方法は、スーパーのチラシで、慣らされてしまっているが、どう考えても異常である。原因はいうまでもなく消費税の存在である。

総額表示義務化

消費税法は、不特定多数の消費者を対象とする価格表示については、総額表示を義務づけている(第63条)。税抜き価格や消費税額の表示は義務づけていない。

価格の表示は、ある商品をいくらで売るのか、いくら払えば買えるのかという、最も基本的な情報であり、総額表示(これもおかしな表現であるが)は、消費税以前の問題である。しかし、A店のチラシが100円。B店は98円となっていても、A店は総額で、B店が税抜きであるということがまかりとおれば、公正競争を害する。総額表示義務づけは、あくまで「念のため」の規定である。

転嫁特例法

平成25年10月1日から令和3年3月31日までは、消費税転嫁対策特別措置法という法律があって、消費税法で総額表示が義務づけられていても、店舗に「当店の価格はすべて税抜きです」等の表示、または、個々の値札に「200円プラス税」などの表示をすることが例外的に認められていた。

8%から10%への税率アップによって、値段シールや、プライスカードの張り替えやパンフレットの刷り直しの手間を考慮した特例であり、令和3年4月1日以後は、認められない。

価格表示方法をみると企業の姿勢がわかる

価格表示の方法には、企業の違いがあって面白い。今日の折り込みチラシをみても、某ホームセンターのチラシの「税込」金額は小さすぎて、老眼の身にはつらい。一貫して、総額表示一本なのが、「ジャパネット」「無印良品」である。転嫁特例法期限終了後、価格表示を変更したのが「ユニクロ」である。ジャパネットもユニクロも「価格」とあるだけで「税込」といった表示もない。さすがに「王者」である。チラシの「税込」価格表示が小さければ小さいほど、本当に安いのかと、意地の悪い見方をしてしまう。本当の「価格」を堂々と表示して欲しい。

ついでだが、かつやのかつ丼は、十分においしいし、600円でも安いと思う。