
課税と脱税の経済史 | 古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論 | みすず書房
M・キーン/J・スレムロッド著、中島由華訳。「税金は払うより、読んだほうがずっと楽しい」(ウォール・ストリート・ジャーナル)。荒唐無稽な歴史を読んで学べる、租税の原則。
これほど面白い税金の本はめったにない。サブタイトルは「古今の(悪)知恵で学ぶ租税理論」である。内容は「租税史」であり、「租税理論」でもあり、さらに「未来のために賢い選択を行うのに役立つ」(はじがきより)ものである。
「租税帰着」
読みどころは、多いのだが、とりあえず「租税帰着」に着目して、税の歴史を読んでみる。
「租税帰着」とは、税金・税制を語る上では、いわば常識的な概念である。
租税帰着とは、文字通り、その税金の落ち着き先で、誰がその税金の負担者となるかということである。歴史をみれば明らかなように、法律上の「義務者」が税の負担者とならない例は枚挙にいとまがない。この問題は、難しく簡単に結論がでない。
ところが、昨今話題となっている「税金問題」では、これらが考慮されている気配すらない。その理由は「無知」なのか、「語らないほうが得」と考えているのか、わからない。
税金を語りたい人には、これを読んでからにして欲しい。

