年末恒例の「今年の漢字」は、「税」。防衛増税、増税メガネ、インボイス、所得税減税、そして、神田元財務副大臣の固定資産税滞納とビルの差押。税に関するニュースに事欠かない一年でした。今年最後は「税」で。
「税」という漢字の成り立ち
漢字カフェによれば、「税」という漢字の成り立ちは「身ぐるみはがして取る」という意味だという。
のぎへんは、穀物が実った様子を表し、作りは「八」と「兄」の組合せで、八は、分けるという意味があり、「兄」は頭の大きい人という説があり、ひっくるめと「身ぐるみはがして取る」となるらしい。
国税庁は「税金会費論」
さすがに、国税庁は「身ぐるみ・・・論」では困るので、学習教材では、「税金は、社会の安全や、みんなに役立つ活動、助け合いのために使われるので、税金は社会をささえる会費のようなもの」だという。
憲法の「納税義務」論
国税庁の教材では、高校生向けになると、「納税は憲法上の義務」であるという説明が登場する。
やはり税金は難しい
「憲法上の義務」説は、「憲法は法律の親玉で、そこで義務と書いてあるから」といった意味合いであろうが、このような説明は、おそらく憲法の教科書にはみあたらない。
下記記事を参照していただきたい。
国税庁も「なぜ税金を払うのか」という説明には苦慮しているようだ。
国民の意識は漢字語源の「税」か?
国税庁の努力にもかかわらず、税に関する国民の意識は、身ぐるみかどうかは別としても「むしり取られる」もののようだ。「税」という漢字の成り立ちは、今も生きている。
しかし、これもあながち誤りとはいえない。税は強制徴収され、滞納すると、強制執行を受けるはめになる。
国民主権のもとでの税のタテマエ
国民は「憲法が定めている」から、納税義務を負うわけではない。国民が選んだ、国会議員が、法律として「税法」を決めたことによって「納税義務」を負う。
国民は、税金を自分たちで決めたから、納税義務を負うのである。つまり税金とは「自己賦課」である。しかし、これはタテマエであり、こう考える人はまれである。
現実=誰が税法を作っているか
税金は自分たちで決めたといわれても、実感がない。それも無理からぬことで、生まれたときから「税法」も「税金」もある。
しかも毎年繰り返される税法改正の経過をみると、まず各省庁からの税制改正要望、これを一部受け入れて、どこかで取り返す財務省。かけひきの結果として、国会に提出される「税法改正案」。これが、与党の賛成多数で法律となる。
これでは、税法は誰か偉い人が決めたもので、国民が関与したという実感がわくはずがない。
タテマエで終わらせないために
タテマエが、タテマエのままとすれば、国民主権は、実態がないものとなってしまう。しかし、現実には、あれだけ批判が多い「一億円の壁」は、崩れそうもない。さて、どうしたものか。おそらく、永遠の課題であるが、あきらめてはいけない。