インボイス施行から2年。「インボイス制度を考えるフリーランスの会」の調査によれば、回答した個人事業主約Ⅰ万人のうち、制度に登録した人の8割は税負担を価格に転嫁できない(つまり自腹)と回答し、未登録の人の3割は、未登録を理由に値引き要求や取引から排除されたという(東京新聞10月2日付けより)。想定されたとおりの結果が起きている。
インボイス導入で課税業者を選択した人は、令和5年分、6年分は「2割特例」を使って消費税の確定申告を終えたはずである。2割特例は、令和8年9月で終了する。この2割特例廃止前に、インボイス制度を廃止しないと、消費税負担によって、事業を継続できない、フリーランスの人が大量に発生する可能性大であり、経済全体に多大な影響を与えるのみならず、社会不安さえ引き起こしかねない。ことはそれほど重大である。
埼玉県議会では、自民党主導で「適格請求書等保存方式(インボイス制度)の廃止等を求める意見書」が採択された。
2割特例終了前にインボイス制度は廃止すべきである。
2割特例とは
2割特例とは、インボイス制度導入によって、課税事業者を選択した人は、令和8年9月の売上まで、売上税額の8割を納付すればよい、とする特例である。
具体的なイメージが、わかりにくいので、月収40万円のフリーランスを例に計算すると、特例適用がある令和7年分の消費税は、8万7千円であるが、適用が完全になくなくなる令和9年では、多くの人が17万4千円となる。
月収40万の計算例
40万円の税抜き金額の計算は、税率10%として、40万円を(1.1)で割ればよい。答えは36万3636円である。
これに税率10%を掛けたのが消費税額であり、答えは3万6363円であり、年額では43万6336円となる。
特例期間中の納税額は、売上税額の2割なので、8万7千円である。
特例終了後は
多くのフリーランスの方は、消費税の計算方式ととして「簡易課税」を選択しているはずであり、消費税法上の区分は「第4種」が多いはずである。第4種の「みなし仕入率」は60%である。
納税額は売上消費税43万6千円から仕入消費税(43万6千円の60%)を差し引きして(仕入税額控除という)、17万4千円となる。