各社世論調査では、消費税減税賛成が6割以上であり、反対は3割以下、なかでも食料品に限り減税賛成が多い、という結果のようである。
輿論と世論
「世論調査」は「よろん」と読まれることが多いが、本来は「せろん」と呼ぶべきであろう。

『輿論と世論―日本的民意の系譜学―』 佐藤卓己 | 新潮社
「世論」はいま、ヨロンともセロンとも読むが、戦前は「輿論=公的意見」「世論=大衆感情」と区別していた。日本戦後史は“輿論の世論化”に他ならない。終戦記念日、安保、東京オリンピック、全共闘、角栄と日中関係、天皇制、小泉劇場

(天声人語)輿論と世論:朝日新聞
大正の時代、爵位のない初の首相となった原敬は「輿論(よろん)」を重んじた。それは世の人々の理性的な意見を指し、世のなかの気分や空気を表す「世論(せろん)」とは区別された。いまでは「世論(よろん)」に…
「世論」とは空気や気分のようなものである。
消費税についての「世論」は、減税賛成であり、とりわけ食料品について減税(免税)賛成が多い。減税反対派は、社会保障を支える重要財源、国の借金をこれ以上増やしていいのか、などが理由のようである。
「輿論」不在の消費税論議
「輿論」とは世の人々の理性的な意見(上記天声人語)である。こと消費税に関しては、理性的な見解におめにかかることがない。理性の代表であるべき新聞でさえ消費税法を読んでいるとは思えない。
消費税の納税義務者は「事業者」であり「消費者」ではない。買い物のレシートの「消費税」は、消費税ではなく、値段の一部である。消費税の金額は値段から逆算して計算する。
だから、消費税減税で「買い物の都度取られる消費税」が減るか、どうかは、わからない。モノの値段は、需要、供給、同業者との競争など、様々要因で決まる。この決まった値段から消費税額を計算する。これが消費税の仕組みである。
「空気」で決まる怖さ
今、空気は「消費税減税」である。減税反対派は、税収減による社会保障削減や、国の財政悪化を危惧して、ということらしい。政治家は、減税をうたわないと票ににならない。
キチンとした理解(消費税法を読むこと)なしに、空気でものごとが進むと、ろくなことはない。