どうやら、いわゆる「年収の壁」が、160万円から178万に引き上げとなるようだ。世論調査やマスコミ論調をは、これを歓迎している。一部で批判的な論調をみかけるが、それは「財源論」からである。
報道から欠落してるいる「ジェンダー」問題
「年収の壁」が、課税最低限の問題であるとすれば、どこまで引き上げても「壁」は存在する。「年収の壁」を引き上げで「手取りを増やす」といっても「手取りが増えた」とうほどの金額ではない。
「年収の壁問題」の本質は、「性別役割の固定化」に利益を感じる人たちの要求であることを見逃してはならない。報道には、この本質的な問題が欠落している。
年収の壁に一番熱心なのは、パート主婦の夫であり「男性は外で稼ぐもの、女性は家庭で、家事・育児」という価値観をもつ「層」である。この層の本音は、「家事労働は妻の役割」を前提としならがら、家計の不足分を妻のパート収入でまかないたい、という層である。
一方、資本もまた、低賃金労働者としての主婦パートを必要としている。
両者の利害が一致したのが「年収の壁」問題であり、その代表的な代弁者が、誰であるかは、ご承知のとおりである。
日本のジャンダーギャップ指数は148カ国中118位だという。「年収の壁」が大きな話題になるようでは、この順位が上がることはない。
