管理組合の会計を考えるには、そもそもマンショとは、いかなるものなのか、その根拠となっている「区分所有権」の理解からスタートする必要がある。
マンションの定義
マンションとは、「分譲マンション」のことであり、「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(適正化法)」によって、初めて法律でマンションの定義がなされた。
同法ではマンションを下記のように定義している。
- 二以上の区分所有者が存する建物で人の居住の用に供する専有部分があるもの並びにその敷地及び附属施設
- 一団地内の土地又は附属施設が当該団地内にあるに掲げる建物を含む数棟の建物の所有者(専有部分のある建物にあっては、区分所有者)の共有に属する場合における当該土地及び附属施設
区分所有法とは
マンションが当たり前になると、もはや気にする人はいないが、マンションは、物理的に一棟の建物の特定部分を自分の「持ち家」としている。
これが可能になるのは「建物の区分所有に関する法律」(区分所有法)があるからである。
区分所有法では「専有部分」を所有権の目的とすることができるとするが、通常の所有権とは異なる特殊な権利である。
民法上「所有権」とは物を全面的に支配し自由に使用・収益・処分できる権利であるが、「区分所有権」は、専有部分にしか及ばない。
マンションでは、外壁、外廊下、エレベータなどはすべて「共用部分」であり、区分所有権の目的とならない。
「専有部分」をキューブのように切り離すことも不可能であり、建物本体の骨組み躯体も「専有」することはできない。区分所有権とは、実に奇妙で特殊なものである。
1962年区分所有法施行
区分所有法は、1962年(昭和37年)に制定された。
民法208条には、建物の区分所有「数人にて1棟の建物を区分してその一部分を共有するとき」という条文があったが、区分所有法制定によって削除された。
1983年区分所有法改正
(1)区分所有建物と敷地利用権と専有部分の原則分離処分禁止
(2)区分所有者が当然に建物・敷地・付属設備の管理を目的とする団体を構成し、意思決定は多数決による
第1点の規定は、当たり前と思えるもので、これがないと事実上、分譲マンションは成立しない。
第2点は、管理組合に関する規定である。
本格的にマンションの建設が始まったのは、この改正後のことである。
1990年代に建築されたマンションが、まもなく建築後40年を経過することになる。