銀行などから「試算表」を出してください。といわれることがあります。そもそも「試算表」ってどんなものでしょうか。なぜ「試算表」というのでしょうか。「試算」というからには、何かを「試算」しているはずです。中には利益や赤字を計算している表だから試算表なんだと思う方もいるかもしれません。
しかし、そうではありません。試算表は複式簿記の会計帳簿が手書きであった時代の産物です。複式簿記では、まず一切の記帳すべきものを仕訳日記帳に記載します。この仕訳日記帳から、総勘定元帳の各勘定科目に転記します。この転記が正しく行われたか否かを検算するための表が試算表です。
もう少し詳しく説明すると、現金100円で、消耗品を購入したとします。まず仕訳日記帳に(日付)、(借方科目)消耗品費、100円(貸方科目)現金、100円と記入します。次にこの仕訳日記帳をもとに、総勘定元帳の消耗品費のページの借方(左側)に100円と記入し、総勘定元帳の現金のページの貸方(右側)に100円と記入します。複式簿記では、総勘定元帳に同じ金額を必ず二回記入します。したがって転記が正しければ、全部の科目の借方金額の合計と貸方金額の合計は必ず一致します。
簿記がパソコン会計時代になると、そもそも仕組みとして「転記」ということを行っていませんから、転記ミスを発見するための試算表は不要です。ここまでは、どうでもよいうんちくです。
ではなぜ今更「試算表」なのでしょうか。試算表は、すべての勘定科目の取引額の合計と当該月の残高が集計され、計算されています。この残高を貸借対照表の科目だけにすれば決算書の「貸借対照表」であり、損益計算書に属する科目だけにすれば、決算書の「損益計算書」となります。
したがって「試算表」とは月次決算書ということになります。