スーパーに行くと「税抜き価格」が大きな字で「税込み価格」が小さな字(みえないほどのこともある)で書いてある。この「税抜き価格」には何の意味もない。どこの店でも「税抜き価格」では売ってくれない。
税込み表示は義務なのに
実際の販売価格より安い値段を表示し、支払いの段階で、表示さた値段より高い金額を請求するなどありえないことである。
消費税法63条では、消費者を相手にする商売では「税込み表示」を義務づけている。
当たり前のことである。その値段で、売ってもくれない「税抜き価格」が大きく表示されているのはフツーではないことに慣らされてしまっている。
気をつけてみると、大手量販店や通販会社でも単に「価格」として税込み価格をのみを表示しているところ、税込み税抜きを併記し「税込み価格」のほうを大きく表示しているところもある。「観察」してみると面白い。もちろん、こちらの方が顧客ファーストであり、価格にも自信があるのだろうと思ってしまう。
消費税額の計算は「本体価格×税率」ではない
レシートを見慣れているので、こう思うのはもっとものことだが、消費税法には、そのように書かれていない。
消費税法では税率10%とすると、消費税額は、販売価格×10/110で計算する。8%ならば、販売価格×8/108となる。
販売価格とは、お客さんに売った金額、つまり税込み価格のことである。
消費税法28条(販売価格から消費税額を計算する)
見慣れたレシートの「本体価格×税率」という理解は、間違いである。28条には、販売価格から消費税額を計算すると書いてある。
(課税標準)
第二十八条 課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準は、課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし、課税資産の譲渡等につき課されるべき消費税額及び当該消費税額を課税標準として課されるべき地方消費税額に相当する額を含まないものとする。以下この項及び第三項において同じ。)とする。
非常に難解な条文である。これがわからないと消費税がわからない。簡単に解説すると次のようになる。
「課税標準」とは税率を掛ける金額であり、課税標準×税率が消費税額となる。
では「課税標準」は、どうやって計算するかというと、「対価として収受する金額」から「消費税相当額」を差し引きした金額だという。ここでいう「対価として収受する金額」とは、お客さんから受け取る金額のことで、「税込み金額」のことである。
本体価格と税から、税込み価格が算出されるわけではない。ここに書いてあることは、普段みなれたレシートの逆である。
税抜き金額に意味はない
消費税額を計算する「課税標準」は、「税抜き金額」である。「税抜き金額は「税込み金額」から「消費税相当額」を差し引きした金額である。
ややこしいのだが、販売対価である税込み金額から消費税額を計算するというのが、消費税法の決まりである。
消費者にとって「税抜き金額」は全く意味がない。