国民の多くが「給与」で生活している。「給与」をみると、生活実態がみえてくる。最初に年齢階層ごとの「数」をみたが、次に平均給与をみていく。数字の羅列をみても、なかなか内容を理解できない。グラフにすると平均給与の男女差の大きさに驚く。このままでいいはずがない。
平均給与
「第10表 事業所規模別及び年齢階層別の給与所得者数・給与額」は、事業所規模別、男女別の平均給与の表である。
年齢階層別平均給与
令和4年の実態統計調査から、年齢階層別の平均所得をグラフにすると下記のようになる。
男女合計であり「一年を通して勤務した者」で「乙欄適用者」を除外した数である。推定母集団(全体の人数)は、4,924万人である。年齢階層は5歳きざみである。
ピークは55歳から59歳の階層であり、557万円である。
この年齢階層までは、給与は上がり続け、60歳から下がり始める。終身雇用で勤続年数によって昇級する年功序列型の給与体系となっているためであろうか。
平均給与の男女差
平均給与を男女別のグラフにすると下記のようになる。
男女別の折れ線グラフにすると、よくみかける形になる。プライマリーバランスの説明で使われる「ワニの口」である。
すべての年齢階層で、女性の平均給与は男性より安い。差が比較的少ないのは29歳までの若い世代だけであり、下顎(女性)が水平なのに対し、男性(上顎)は、40歳から64歳までの階層まで上に開き、顎は広がり続ける。
25歳から59歳まで女性(下顎)は、ほぼ水平である。男性は勤続年数、年齢で給与が上がるが、女性は、勤続年数や年齢との相関は認められない。25歳の給与のまま定年を迎える。これが男性との違いである。
平均給与の男女差はどのくらいか
各年齢階層で男性平均給与を1とした場合の女性の平均賃金をグラフにしてみた。上記と同じデータであるが、さらに特徴が明確に現れる。
男性給与の80%台は29歳までであり、30歳から差が広がりはじめ、50歳から64歳までの年齢階層では、半分以下となる。
ひとこと
2024年のジェンダー・ギャップ指数(WEF)で、日本は118位(146カ国中)である。
この指数は、経済、政治、健康、教育の4つの指標を統合したものだが、教育(0.993)、健康(0.973)では、ギャップはほとんどない、ところが政治(0.118)、経済(0.568)と、極端に評点が低い。(0が完全不平等、1が完全平等で1に近いほど順位が高くなる)
「経済」では、労働参加率、同一労働における賃金の男女差、推定勤労所得の男女比、管理的職業従事者の男女比、専門・技術者の男女比が、評価の対象である。
教育水準が高く、健康な女性が多いのは誇るべきことである。しかし、国際的には、この評価である。これでは社会の活力は生まれない。もちろんこの国の統治者の責任が問われるべきであるが、国民全体の問題でもある。